苦しく辛くも走り続けたこのDECADEが

君に出会うためのものだったら

なんだって笑えるような気がするんだ







なぁ だから











Decade








この世界を照らす光が もうめぐって来ないように

たった一度だけ、でもそれは切実に祈った日がある。



街は陽の光で輝くのに、俺たちの前には道すらなくて。

新しいジャンルを切り開く事がどれだけつらい事かなんてわかっている。

道がない、当たり前だ。俺たちはあえてそこを選んだ。



でも、でも。





例え疑問があったって立ち止まれやしねぇ。

朝は来る、世界が動き出してしまう。

わかってる、前にしか進めないことぐらい。







怖くて 後ろが 振り向けない







今まで築き上げてきたものが、振り向いたらなくなっていたなんて

何の為に立ち止まらずに走ってきたかわかりゃしない。















そんな事をボヤボヤ考えていたらいつものようにカーテンから光が漏れ出した。







分かってるんだけどねぇ。朝は来るんだって。

















早起きのはもうベッドから抜け出していて、リビングからはテレビの音が漏れていた。







「おはよ。」









食い入るようにテレビを見つめているはロクに返事をしない。

キッチンからはやかんが沸騰している音が聞こえている。

慌てて火を止めて二人分のコーヒーを淹れてソファまで持っていった。









「そんなに食い入って見ちゃって。何の番組?」

「あ、てっちゃんおはよ。砂漠だよ、砂漠。」

コーヒーを受け取りながら見れば分かる当たり前の情報を伝えてくれた。



テレビの画面いっぱいに写る砂漠。風に任せてその表情を変えていく様は

目まぐるしい世の中に流される俺たちに似ているような気がした。



「砂漠は見りゃわかるっつの。行きたいのか?ちょっと今は連れて行ってやれねなぁ」



は集中している時はそれ以外のことは脈絡のない事を言ったりする。

今日もそのパターンだろうと思っていたときだった。













「なんか、音楽に似てる気がする」











いつもコイツの本当に言いたいことをすぐにわかってやれないのが歯痒かったり。

俺の気持ちをよそに彼女は言葉を進めた。





「世界で最初の音は神様の息の音だって聞いたことがあるんだ。多分ね、私思うんだけど

砂漠で一番最初に吹いた風はきっと神様の歌声なんじゃないかなって。

きっと砂漠は憶えてるんだよ。自分を一番に吹き抜けた風は神様の歌だって。」













2人を取り巻く空気が 色づいた 気がした。











「何もないところから生まれるものが、本当の音楽なんだと思う、きっと」





テレビから視線を離して、真っ直ぐに俺を見つめて。







すげぇな。俺が寝てる間にこんなにすげぇ事考えちゃうなんて」





「てっちゃん笑うかと思った。なんかね、ゴスペラーズも同じなのかなってちょっと思ったりしたんだ」



「俺たちも神と同等ってか。やるねぇ、なかなか」



「ゴスペラーズが歌うとね、新しい風がふわって通り過ぎていくような気がするの。

まっしろなところから湧きあがった、光みたいな…なんか上手く言えないけどっ!」







ちょっと気恥ずかしくなったのか、早口にまくし立ててふいっと顔をそむけた。









その顔を引き寄せて額をくっつけて







「ありがとう、。お前が側にいてくれてよかった。

まだ、歌える。まだ走っていけそうな気がする」





「てっちゃんの素敵な声、もっと響かせなきゃ。てっちゃんに会う為に私生まれてきたんだって思ってるから。」





やっぱりまだちょっとコイツのこと、わかりきってないかもしんねぇ。

頬が紅くなるのを感じながら敵わねぇなって思いながら。





「朝からたまんねぇなぁってっちゃんこんなに愛されちゃって。なぁ、メシ食わねぇ?腹減ったよぅ」







照れ隠しに勢いよく立って大きく伸びをした。









「うん、そうだね。今日も頑張ろっ!」





なんだか嬉しそうなが立ち上がった所を抱きしめてそっと鼻の頭にキスをした。

















あの日 あの時 君の言葉がなければ

やっぱり俺は後ろを振り返ったかもしれない



それはもう走れないという白旗をあげるっつーこと







俺たちのこの声が 世界の海を渡って

みんなに届けばいいって思った

やっぱ朝が来ないとな 太陽がないとな

天上にあがってもなお

そこを蹴ってまだ走るぜ 俺たちは





時の砂漠がくれたのは 最愛の出会いと 最高のステージ

全部 吸い込んだら 顔をあげて



歌おう これからも ずっと




あとがき。

遅くなり申し訳ありませんでしたっ(土下座)…
なんとかこの日にUPさせていただきました。
「相愛音感」のまに子さまからのリクエスト
「てっちゃんで10周年」ということで。
…リク、添えてますか?!リクいただいた日からこのイメージしかなくて…
ああああごめんなさい・・・長いですよね?あぁまとまりがない…
まに子さま、いつもありがとうございます。
こんなのでよろしければどうぞお納めください。



                                       
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