Thanksgiving
今まで生きてきた ほんの一瞬に覚えた言葉で
あなたにこの気持をどう伝えたらいいのかわからない
綺麗な満月の夜に 鍵盤の蓋を開け
曲を紡ぐことにしました
瞬く星屑に乗せて この音が届きますように
一音一音に 心を託して
きらきら輝く光の粉を 漆黒のビロードにふりまいて
遠くの空にそっと広げる
月の光を吸って 雲がビロードに旋律を映しだす
風が布を波立たせて 音譜を遥か彼方に走らせる
森が見えてきたら そっと降りて
木々の間に眠る妖精のため息を 盗んでおいで
そよぐ葉の音も 一緒につかまえて
壊さないように シャボン玉の中に閉じ込めて
夜空に浮べれば ハミングが聞こえる
天高く昇って 包みがほどけても
虹色の粒が地に降り立つ
眠っていた草木が目を覚ます
天上からの贈り物に胸を躍らせて
鍵盤の上で指は紡ぐことをやめない
伝えたい事が多すぎる
あなたと窓から毎日眺めた景色
今はあと影もなく見えなくなってしまったけれど
名もわからなかった白い花をつけた木
枝にとまった鳥を見つけては微笑み
葉の色の移り変わりに驚いては
取るに足らない話に付き合ってくれた
いつも隣にいてくれたことが
どんなに今を支えていてくれることか
風の香りが変わる 夜露が日の光を浴びる時
広げていた布は 朝日に溶ける
妖精はまだ夢の中の愛しい人を起こしに出かける
街が 動き出す
最後の音が静かに鳴り響く
指が離れた鍵盤は 静かに眠りにつく
目が覚めたあなたの中に 少しでも幸せが残りますように
この音を思い出すときには ほんのかけらでも傷を癒せますように
そっと窓辺に祈る
あぁ なんて美しい青空
あとがき。
カウンター200ゲッツのLupinus様への贈り物でございます。
私の精一杯の気持ちであります。
こんなので申し訳ないですが
どうぞお納めくださいませ。
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